この半月ほど、よしもとばななさんの長編小説「王国シリーズ」を読みました。
ばななさんの小説は学生の頃からよく読んでいて、特に「アムリタ」は毎年夏になると読んでいます。
王国は気にはなっていたのですが、なぜかなかなか手に取ることがなく、8月にふと買って読んでみました。
そして、読み始めてすぐに、私はこの王国の世界に魅了されてしまいました。
これから読む方もいるかもしれないので、内容知りたくない方はあまりこのブログを読まない方がいいと思います。

王国は、
1.アンドロメダハイツ 2.痛み、失われたものの影、そして魔法 3.ひみつの花園 4.アナザー・ワールド
の4巻から成っています。
厳密にいえば、3巻でひとまず完結し、4巻は「その後」のお話になっています。
どんなお話かというと、山奥で薬草茶を作るおばあちゃんと一緒に暮らしていた主人公の女の子"雫石"が、山を降りて一人で生きていかなければならなくなり、街での生活はいろいろありながらも、出会うべき人に出会い、大きな力に守られながら生きていくという内容です。
始まりの方に、こんな言葉が出てきます。
「これは、守られている女の子の行き方の物語だ」
「本人は孤独を感じたり悲しみや試練に大騒ぎしてじたばたといろいろな感情を味わっているが、大きな大きな目で見れば、実はいつでも守られている」
ここを読んだ時、この本に出会ってよかったと思いました。
良い言葉がたくさん出てきます。
最初はページの角を折っていたのですが、そんなページがどんどん増えてしまったので、小さな付箋をたくさん貼っています。
その言葉たちの一部を紹介します。
*人のいるところには必ず最低のものと同時に最高のものもあるの。憎むことにエネルギーを無駄使いしてはいけない。最高のものを探し続けなさい。流れに身をまかせて、謙虚でいなさい。
*どんな人で、何をしていて、どういいう考え方かなんて結局はその笑顔の中に全部入っている。
*好きなものが増えると痛くて生きていきにくいから、サボテンと祖母だけでもう充分だと思っていたけれど、ここに来てから大切な人が増えすぎて、もうどうしようもない。いっそ、こうやって増えに増えて、いつか爆発してしまうといいと思う。そして私の手におえない大きな光になるといい。
*何かが終われば必ずなにかがはじまっている。それを見るか見ないかだけが私の自由なのだ。
*ひとりひとりの人間がその人本来の姿に戻ったら、こわいくらいの力を発揮する。でも、その力はわからずじまいで墓に行ってしまう可能性がここでは高い。それでもいいと、人びとは思っているのだろう。それはそれで、別にいいと思う。
誰によって、何のために檻に入れられているのかはわからないが、いつだって鍵は開いている。ドアもばーんとあいているからだ。
*人が出会うときにはどうして出会ったかっていう意味があって、出会ったときに秘めらていた約束っていうのが終わってしまうと、もうどうやってもいっしょにいられないんだよ。
*みんな、実はいろんなものに愛されたり支えられたりしているのに、ちっぽけな自分の悩みでいっぱいになっているのな。人間ってほんと贅沢なものだよ。
*今日は今日の光だけを見て、精一杯体も心も動かして、とにかくただ生きるんだよ。
この王国の世界が大好きで大好きで、読み終わるのがとても惜しかったです。
でも、ベストなタイミングで出会うことができました。
興味があれば、ぜひ読んでみてください。
何かに気づくと思います。目の前の世界の見方が変わるかもしれません。
あと!
ヨガの哲学を勉強した方に読んでほしい。
ばななさん、ギータ読んだ?と思ってしまいました(笑)
もちろん、哲学勉強していない方にもとてもとてもおすすめです。
最後に、私の一番好きな言葉をもう一度。

どんな人で、何をしていて、どういいう考え方かなんて結局はその笑顔の中に全部入っている
posted by Natsuki♪ at 21:11|
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